福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例


  • 目次
    • 前文
    • 第一章 総則(第1条~第3条)
    • 第二章 行政及び地域社会の責務(第4条~第6条)
    • 第三章 県民の責務等(第7条~第12条)
    • 第四章 県の機関、事業者等の責務(第13条~第17条)
    • 第五章 特定事業者の責務(第18条~第25五条)
    • 第六章 飲酒運転撲滅のための措置(第26条~第33条)
    • 第七章 雑則(第34条~第36条)
    • 第八章 罰則(第37条)
    • 附則
  • 本県では、平成18年8月、飲酒運転により幼い3人の命が突然奪われるという悲惨な事故が発生し、県民は、飲酒運転のおそろしさに大きな衝撃を受け、飲酒運転は絶対に許さないと決意したところである。しかしながら、その後、法令による厳罰化が進み、取締りの努力が続けられているにもかかわらず、平成23年2月の男子高校生2人をはじめ犠牲者が続き、今もなお、飲酒運転事故が後を絶たない状況にある。
  • また、飲酒運転による検挙者の半数が再犯者と推定されていることから、残念ながら常習的に飲酒運転を繰り返す県民の存在を否定できず、現行法令により道路交通の現場において行われる取締りだけでは、現状を打破することは困難である。
  • このような憂慮すべき状況の背景には、飲酒運転の危険性と結果の重大性に対する社会的な認識の甘さがあることを指摘する声があり、まず、常習者の徹底的な自己啓発と県民意識、社会風土の改革が急がれるところである。しかし、一方で、飲酒運転による検挙者の中には、アルコール依存症が疑われる方も多数存在することが判明しており、このような疾病の場合には、啓発は功を奏しないとされている。
  • したがって、飲酒運転の撲滅のためには、取締りの強化だけではなく、まず、検挙者ひとりひとりの特性に応じた適切な予防措置を講じ、二度と飲酒運転を繰り返させないことが重要である。また、飲食店等において、運転者に飲酒をさせないための取組を進めることも不可欠である。
  • もはや、私たちは、県民の生命と安全が日々脅かされている事態をこのまま看過することはできない。
  • よって、ここに、県民が飲酒運転に至る経緯を見据えた適切な対策を講じるとともに、飲酒運転撲滅のための施策を総合的かつ計画的に推進することにより、飲酒運転のない、県民が安心して暮らせる社会を実現するため、この条例を制定する。

第1章  総   則

  • 〔目  的〕
  • 第1条
    • この条例は、県、市町村、関係機関及び団体が連携し、県民と一丸となって飲酒運転撲滅運動を推進するため必要な事項を定めることにより、飲酒運転は絶対しない、させない、許さないという県民意識及び社会風土を定着させ、もって県民の生命と安全を守ることを目的とする。

  • 〔定  義〕
  • 第2条
    • この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
      1. 県職員 県の執行機関及び議会(以下「県の機関」という。)の事務を補助する職員で、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員をいう。
      2. 管理監督者 県職員のうち、部下の職員を管理監督する地位にある職員で、係長又は係長相当職以上の職にある者をいう。
      3. 車両 道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第9号に規定する自動車、同項第10号に規定する原動機付自転車及び同項第11号の2に規定する自転車をいう。
      4. 飲酒運転、酒気を帯びて車両を運転する行為をいう。
      5. 事業者 県内で事業を営む個人又は法人その他の団体をいう。
      6. 飲食店営業者 営業の形態にかかわらず、店舗その他の設備(以下「飲食店等」という。)において酒類を提供して飲食させる営業(以下「飲食店営業」という。)を行う者(当該飲食店等の責任者を含む。)をいう。
      7. 飲食店営業者等 飲食店営業者及び当該飲食店営業に従事する者をいう。
      8. 酒類販売業者 酒税法(昭和28年法律第6号)第9条第1項に規定する販売業免許を受けて酒類を販売する者をいう。
      9. 駐車場所有者等 駐車場法(昭和32年法律第106号)第2条第1号に規定する路上駐車場及び同条第2号に規定する路外駐車場(以下「駐車場」と総称する。)を所有又は管理する者をいう。
      10. 特定事業者 飲食店営業者、酒類販売業者及び駐車場所有者等をいう。
    • 〔率先垂範〕
    • 第3条
      1. 県議会議員その他福岡県の特別職に属する者及び県職員は、自らの行動を厳しく律し、県民に範を示すべき立場を深く自覚するとともに、飲酒運転は絶対しない、させない、許さないという固い決意をもって、飲酒運転の撲滅に率先して取り組むものとする。
      2. 前項の規定に反し飲酒運転を行った者は、その行為が飲酒運転撲滅に向けた県民の努力及び本県の名誉を著しく毀損するものであることを自覚し、本県への信頼を回復するよう適切に行動するものとする。

    第2章  行政及び地域社会の責務

    • 〔県の責務〕
    • 第4条
      1. 県は、市町村、交通行政に関わる国の機関又は事業者、医療機関、教育関係者、特定事業者の団体その他飲酒運転の撲滅に取り組む諸団体との連携の下に、飲酒運転の撲滅に向けた施策を総合的に実施するとともに、必要な措置を講じるものとする。
      2. 県は、市町村、特定非営利活動法人、地域の住民団体等による飲酒運転撲滅のための取組に対し、必要に応じ、専門家の派遣、研修の実施、情報の提供その他の方法により協力及び支援を行うものとする。
    • 〔市町村の責務〕
    • 第5条
      1. 市町村は、県とともに、住民の生命と安全の確保について重大な責務を負うものであることを踏まえ、自主的に飲酒運転の撲滅に取り組み、かつ、県の施策に協力するよう努めるものとする。
      2. 市町村は、当該市町村の住民による飲酒運転撲滅の取組に対し、必要な支援を行うよう努めるものとする。
    • 〔法令上の権限行使に係る配慮〕
    • 第6条
      • 知事及び公安委員会は、所管する法令上の権限でこの条例の規定に基づく措置、取組等に関連するものを行使するに当たっては、関係者に対し、この条例の趣旨及び当該措置、取組等に関する説明を行い、協力を要請するなど、当該法令に反しない範囲で、この条例の目的達成に資する措置を併せて講じるよう配慮するものとする。

    第3章  県民の責務等

    • 〔県民の責務〕
    • 第7条
      1. 車両の運転を行う県民は、飲酒が車両の正常な運転を妨げ、重大な事故の原因となるものであることを自覚し、日常生活において次の事項を厳守しなければならない。
        1. 車両を運転する必要があり、又は必要となることが見込まれるときは、飲酒しないこと。
        2. アルコールが身体に及ぼす影響について正しく理解するように努め、飲酒したときは、その影響がなくなるまで、いかなる理由があっても車両を運転しないこと。
        3. アルコール依存症であるとき又は常習飲酒、大量飲酒等の不適切な飲酒行動(以下「問題飲酒行動」という。)があるときは、飲酒運転を防止するため、治療又は問題飲酒行動の是正に努めること。
      2. 県民は、飲酒運転はしない、させない、許さないことが県民共通の願いであり、責務であることを自覚し、家族又は知人が飲酒運転を行うおそれがあると認めたときは、これを阻止するため、声かけ、確認、注意等、所要の措置を講じるよう努めるものとする。
      3. 県民は、家族又は知人が飲酒運転を現に行おうとし、又は行ったときは、事故を防止するため、警察官に通報又は相談するよう努めるものとする。
    • 〔受診義務等〕
    • 第8条
      1. 前条第1項第2号の規定に反して飲酒運転を行い、道路交通法第117条の2第1号又は同法第117条の2の2第1号に規定する状態にあることが認められた者(以下「違反者」という。)は、知事が指定する医療機関においてアルコール依存症に関する診断を受けるよう努めるものとする。
      2. 知事は、前項の違反者に対し、指定する医療機関に関する事項、第7条第1項の規定の趣旨の理解に資する事項その他必要と認める事項を記載した書面を送付するものとする。
      3. 第1項の違反者が規則で定める期間内に再び違反者となったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、知事が指定する医療機関においてアルコール依存症に関する診断を受け、その結果を報告しなければならない。
        1. 第1項の規定に基づき受診した医療機関の診断書(規則で定める期間内のものに限る。)を提出したとき。
        2. 既にアルコール依存症であることが判明しているとき。
        3. その他規則で定めるとき。
      4. 前項の報告は、受診した医療機関を通じて行うことができる。
      5. 知事は、規則で定めるところにより、第3項の規定に従い受診及び報告を行うべき旨と受診の期限を違反者に通知するものとする。この場合において当該違反者は、正当な理由があるときに限り、期限の変更を申し出ることができる。
      6. 知事は、前項の通知を受けた違反者が、正当な理由がなく同項の期限までに受診しないときは、期限を定めて受診を命ずることができる。
    • 〔治療義務〕
    • 第9条
      1. 前条第3項又は第6項の規定による受診の結果アルコール依存症と診断された違反者(前条第3項第1号に規定する診断書においてアルコール依存症と診断された者及び同項第二号に該当する者を含む。)は、将来にわたり再び車両を運転することがない場合を除き、知事が指示するところにより専門病院において治療を受け、その状況を報告しなければならない。
      2. 知事は、前項の違反者がアルコール依存症の治療を受けず、又は治療を継続しないときは、必要な治療を受けるよう勧告することができる。
    • 〔飲酒行動是正等の取組義務〕
    • 第10条
      • 第8条第3項の規定に該当することとなった違反者のうち、前条第1項の規定に該当する違反者以外の者は、受診した医師の意見等を勘案し、知事が推奨する飲酒行動是正プログラム又は飲酒運転撲滅のための啓発的社会活動等のプログラム(以下「啓発プログラム」という。)のいずれかに参加しなければならない。

    • 〔知事及び公安委員会の相互協力〕
    • 第11条
      1. 公安委員会は、知事が第8条から前条までの規定に基づく事務を遂行する上で必要となる違反者情報の提供その他の協力を行うものとし、知事は、当該事務の遂行状況に関する情報を公安委員会に提供するものとする。
      2. 前項に規定するもののほか、知事及び公安委員会は、この条例の規定に基づく措置の実施に関し緊密な連携を保ち、相互に協力するものとする。
    • 〔違反者の家族等の責務〕
    • 第12条
      1. 違反者が、第8条から第10条までの規定により受診し、若しくは治療し、又は飲酒行動是正プログラムに参加する場合において、その家族は、違反者の受診、治療又は飲酒行動の是正を促し、支援することにより、その目的達成に協力するよう努めるものとする。
      2. 違反者が第10条の規定により啓発プログラムに参加する場合には、知事は、啓発の効果をより高めるため、違反者の家族も共に参加できるよう配慮するものとする。

    第4章  県の機関、事業者等の責務

    • 〔〕
    • 第4条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    第5章  特定事業者の責務

    • 〔〕
    • 第4条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    • 第6条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    第6章  飲酒運転撲滅のための措置

    • 〔〕
    • 第4条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    • 第6条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    第7章  雑   則

    • 〔〕
    • 第4条

    • 〔〕
    • 第5条

    • 〔〕
    • 第6条

    第8章  罰   則

    • 〔〕
    • 第4条

    附   則

 運転代行「夜を走る」
交通事故被害者遺族の手記
被害者・加害者の声
手記 ~癒されぬ輪禍より~
もう一度会いたい
贖いの日々