調査報告書について


平成25年5月28日

弁護士 饗庭靖之

  1. 初代・代表理事の責任について
    • 調査報告書は、17ページにおいて、初代理事長と組合との共済契約に基づく共済金の支払いについて、「初代・代表理事は、支払い要件として求められている随伴車が存在しないにもかかわらず、共済金を請求していた」ことを認定するが、23頁において、「共済金額の返還請求権が法律上認められるかについて検討の余地はあるものの」「本組合として同金額の返還を求めることは正当な対応と考えられる。」としている。
    • 「共済金額の返還請求権が法律上認められるか」という問題は「本組合として同金額の返還を求めることは正当な対応である」という問題と同じ問題ではないかと思われるが、「共済金額の返還請求権が法律上認められるかについて検討の余地はある」との記載がされていることは、理解が難しい記載である。
    • 「共済金額の返還請求権が法律上認められるかについて検討の余地はある」のであれば、検討の結果、「共済金額の返還請求権が法律上認められない」との結論に至る可能性が残されていることを認めている記載であり、そのような結論に至る場合においては、本組合として同金額の返還を求めることは法律的には正当な対応とはならないおそれがあると考えられる。
    • 以上の点を踏まえると、「本組合として同金額の返還を求めることは正当な対応と考えられる。」と記載されているのは、法律的には請求ができるかはさておき、道義的に返還を求めることは正当であるとの趣旨で記載されているのではないかと推測される。
    • 調査報告書の認定を尊重して初代・代表理事の責任追及を実行するにあたり、以上のような点を踏まえることが必要ではないかと考えられる。
  2. 役員・元役員の責任
    • 調査報告書の「歴代の副理事長、専務理事、監事、査定担当理事については、事故受付の現場である事故センターに赴く機会もあり、事故受付書の確認など、事故対応の状況について容易に確認できる地位にあったことからその責任は一般の理事よりも重いというべきである。」との結論は明確であり、調査報告書の当該認定を尊重すべきことから、「歴代の副理事長、専務理事、監事、査定担当理事」については、いったん組合の役員の地位から外れていただくような対応が適切であると思料される。
  3. 職員の責任
    • 調査報告書の「同問題について、懲戒処分などの方法による責任追及を行うことは不適切である。」との結論は明確であり、調査報告書の当該認定を尊重すべきことから、職員については、懲戒処分などの方法による責任追及を行わないことが適切であると思料される。